後悔しない!相続対策「相続と遺言のトリセツ」

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相続手続きの依頼を受けた際によく見受けられる会話の一コマを見てみましょう。

 

 司法書士 
「相続人の間で、遺産分けの話し合いは、もうできてますか?」

 

依頼者

「遺産分けの話はしていませんが、兄妹は二人しかいなくて、もう妹は嫁いで、私が実家を継いでますから、父の遺産は私が相続して、いくらかは妹にも分けてやるつもりです。」

 

司法書士
「そうなんですね。いずれにしても、妹さんと遺産分けについて話をして、遺産分割協議書に署名と実印で押印を頂かないと、遺産分けの手続きはできませんから、手続きについて説明しておいてくださいね。」

 

そして・・後日・・・・

 

 兄

「親父の遺産分けについてだが、生前に親父といろいろ話をして大体は決めていたんだが、この家のことは基本的には俺が引き継いで行くから、安心しろ。まあ、お前にも多少のことはしてやるつもりだから」
 妹「……」

 兄

「手続きはこっちで全部やるから、あとで手続書類を送ってやるからハンコついて返してくれればいい。」
 妹
「ちょっと待ってよ。遺産分けには話し合いが必要でしょ。どう分けるつもり?」

 兄

「えっ?」

 妹
「これまでは仕方なくお兄ちゃんの云う事、聞いてきたけど、私だって、父さんの相続人という立場は全く同じなのよ」

 兄

「お前、急に何を言い出すんだ?」

 

 

 

いままで家のことは何事も父親と長男主導で進めてきており、以前にお爺さんが亡くなった時も長男である父親が遺産の全てを相続しました。

 

今回もお爺さんの時と同じように家を継いだ長男が先祖代々続く遺産を相続するのは当然だろう考えていました。

 

ところが、妹からは思わぬ言葉が返ってきました・・・

 

兄の焦りも無理はありません。


家族から個人へ

核家族化が進み、家同士の付き合いや親戚付き合いが年々薄まりつつある現代ですが、この手の話は、相続の手続きの際、まだよく出てきます。

 

過去にさかのぼれば、戦前の相続制度は家制度ものと、その家の戸主が家の財産をすべて継承する、いわゆる家督相続が基本でした。

 

結婚して他家に出た者は、戸籍から抜け、実家の財産を相続する権利は原則として無い決まりとなっていました。

 

終戦後、新しい法律によってこの制度は大きく変わり、長年続いた仕組みが家という単位から個人へと移行しましたが、人々の意識まで替わったのかというと、そうとも言えません。

 

地方に行けば行くほど、長く続いた家督相続の考えが根強く残っているようです。

 

現在でも、結婚して嫁いだり、養子縁組したりすると、元の戸籍から抜けて、別の戸籍に入り、更に苗字も変わります。

 

ただ、現在の法律では、たとえ戸籍から抜けて別の戸籍に入ったとしても、親の遺産を相続する権利は亡くなりません。

 

現在の法律を知っている場合でも・・・

 

「実家から遠く離れた場所に嫁いだ姉や妹は相続しなくてよいだろう。」といった、自分に都合のよい解釈や理由のない先入観を持ってしまいがちになる方もいらっしゃいます。

 

こうした思い込みは、要注意です。

 

たとえ遠くにいようが、結婚して嫁ごうが、養子に出て長年、音信不通になっていようが、いずれの場合も相続人としての権利を失うわけではありません。

 

「実家を継いだ自分が父親の遺産を全て自由にできる。」という考え方は、トラブルに直結する誤った考え方といえるでしょう。

 

思い込みは禁物

父親も家を継いだ兄も、将来のことを話あっていたのなら、遺言書を作っておくべきでした。

 

但し、妹のことも忘れてはいけません。

 

妹をないがしろにした遺言書は、将来の兄妹の関係を悪くしてしまうこともあります。

 

心のこもった遺言書の作成をサポートします。

 

その為にも事前にある程度の相続の手続きの流れと注意点を押さえておく必要があります。

 

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