後悔しない!相続対策「相続と遺言のトリセツ」

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遺産となるものは、プラスの財産だけとは限りません。
つまりマイナスの財産である借金なども相続の対象となります。
住宅ローンなどの借り入れも相続の対象となるのですが、通常は住宅ローンを組む際に団信(団体信用生命保険)に加入することがほとんどだと思います。
一定の条件はありますが、この団信のおかげで債務者(住宅ローンを借りる方)が亡くなったとき、住宅ローンの借金を死亡保険でまかない全額返済するという仕組みになっています。
それとは別に借金の相続でよくあるのが、事業用アパートの借金の相続です。

「亡くなったお義父さんの遺産分割の話し合いどうなった。アパートの借金が結構残ってるって聞いたけど。」

「ああ・・・あのアパートは兄貴が引き継ぐことになっているから、その家賃収入で借金も兄貴が払っていくことになったよ。」


「うちも楽じゃないんだから・・・借金まで相続するのはイヤよ。」

 

「わかってるって。あのアパート経営は最初から兄貴が関わっていたし、そのほかの遺産だって、兄貴の方が多く引き継ぐことになるんだ。その借金も兄貴が引き継ぐことで話がついたよ。」

「よかった・・・でも、もし将来アパート経営がうまくいかなくなったとしても、うちには関係ないわよね?」

「兄貴が払うってことで遺産分割協議は成立したんだから、安心していい・・・と思うよぉ」

 

さてさて・・・本当に大丈夫でしょうか?


相続人間の遺産分割協議では、借金の取り決めはできない?

亡くなった方(被相続人)の土地や建物、銀行の預金、有価証券、車などの遺産を、誰が、どんな割合で取得するのか。それを相続人の全員で話し合い、取り決めたことを書面にしたものを「遺産分割協議書(いさんぶんかつきょうぎしょ)」と呼びます。

 

遺産分け方は、相続人全員の話がまとまれば意外と自由に決めることができます。
この遺産分割協議の際に、「亡くなった方の借金を誰が引き継ぐか」を決めることも多いと思います。
たしかに、話し合いの結果をまとめた遺産分割協議書のなかに「借金はAが相続する。」と書いて、実印を押せば、ほかの相続人は、借金はAが全部引き継いだと言うことで、安心してしまうでしょう。
もちろん、このような取り決めをすうことに意味がないわけではありません。
しかし、これだけでは、ほかの相続人の借金が免除されたことにはならないのです。
その理由は、相続人の話し合いで自由に引き継ぎ方を決めていいのは「プラスの財産」だけで、法律上「マイナスの財産」である借金は遺産分割の対象とならない、とされているのです。
よく考えてみてください。

 

銀行からしてみれば・・・・

 

「相続人のあいだでは借金の全額を長男が支払うってきめたようだけど、勝手に決めないで下さいよ。」
「プラスの遺産も、どのように分けたか知らないし、長男だけで返済は大丈夫なの?」
「次男もその相続人として借金を引き継いだんだから、兄弟2人で責任を持って払っていってよ・・・・」
という話になります。

「マイナスの財産の相続」の仕組みは・・・・

亡くなった方(被相続人)の債務のうち、分割が可能な債務は、相続の発生によって当然に各相続人の法定相続分に応じて相続してしまいます。
例えば、お父さんが亡くなり、相続人は長男、次男の2人だったとします。
お父さんは100万円の借金を残して亡くなりました。
その借金は、相続が発生すると同時に法定相続分(各2分の1)である半分の50万円ずつに分割され、兄弟2人にそれぞれ自動的に相続されることになっています。

 

そのため、遺産分割協議が成立しても、次男は、50万円分の借金を自動的に引き継いでしまっている形になっています。
そして次男が、この債務を免れるためには長男との話し合いのほか、銀行も交えた免責的債務引受契約(めんせきてきさいむひきうけけいやく)とが必要となります。

 

  先ずは、相続人間で、長男は、次男が相続した50万円の借金を引き受けるという合意をします。

 

  銀行は、相続人に対し、「その借金引受の合意」と「次男の借金の免除」について承諾します。

 

この免責的債務引受契約(めんせきてきさいむひきうけけいやく)の成立により、次男は晴れて借金から開放されるわけです。

 

亡くなった方の借金をどうするか相続人のあいだで話がついた後には、きちんと債権者からの承諾を得ることが重要だということです。

 

ただし、話し合いの結果に承諾するかどうかは債権者の自由ですので、希望通りになるかどうかはわかりません。
いずれにせよ、マイナスの財産の引き継ぎ方は相続人だけで勝手に決められるわけではない、という事だけは覚えておいてください。

プラスの遺産より借金の方が多い場合は「相続放棄」を検討

債権者の承諾なく、マイナスの遺産を放棄するには、家庭裁判所で「相続放棄の申述」を行う方法もあります。

 

但し、相続放棄した場合は、プラスの遺産も当然に放棄することとなります。

 

相続が発生した場合は、スムーズに行いたいものです。

 

その為にも事前にある程度の相続の手続きの流れと注意点を押さえておく必要があります。

 

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