後悔しない!相続対策「相続と遺言のトリセツ」

山形市,司法書士,法務局,相続,相続放棄,遺産,遺言

離婚経験がある親族に心当たりのある方は、少し注意が必要です。
相続手続きの一コマです。
お話をお伺いすると、相続人は母、長男である自分、妹の3人と言うことでしたので後日、戸籍謄本など関係書類を持参して頂き資料を確認すると……
司法書士
あれっ。亡くなられたお父さんには前妻との間に一人お子さんがいらっしゃるようですけども、その方とは連絡を取り合ったりしていますか?

 

えっ?前妻?初めて知りました。全然連絡なんて取ったこともありませんよ。

 

 

長男は、てっきり、相続人は自分と母と妹の3人のみであると思っていました
ところが、集めた戸籍を確認したところ、父親には離婚歴があり、母とは再婚であったことが分かり、更に、驚いたことに前妻との間に子どもがいた訳です。
当然、前妻との間の子(Aさん、としましょう。)も相続人になりますので、戸籍を追いかけて確認してみると、既にAさんは死亡しており、代襲によりAさんの子供が相続人になることが明らかになりました。
今回の相続は下の図のようになります。
 
その後の相続手続きはどうなったかというと・・・・・
お互いに弁護士さんを交え、調停までもつれる結果となりました。(涙


離婚して元妻との縁は切れても、子との縁は切れない

離婚すると元配偶者(前妻や前夫)との縁は完全に切れますが、その子供との関係はそんなに簡単ではありません。
さて、このような事にならないためには、どうしたらよいのでしょうか?

少し離婚のお話も少し、しておきましょう。

離婚した場合、当事者間のはなし合いで主に次のことが取り決められます。

 

1 婚姻期間中に夫婦で築いた財産を分けるための「財産分与」
2 子供が一定の年齢に達するまでにかかる衣食住の費用などを負担する「養育費」
3 不倫などの理由により相手方に与えた精神的な苦痛などの損害を賠償するための「慰謝料」

 

このような離婚に伴う金銭のやり取りは、離婚の成立から、子供が成人などの年齢に達するときまでの期間で終わることがほとんどです。
慰謝料や養育費などを払い終えてしまえば、既に戸籍から抜けた元配偶者とは当然に何の関係もない赤の他人となり、どちらか一方が亡くなったとしても、お互いに相続する権利は一切発生しません。

 

これに対し、元配偶者との間に生まれた子供との関係は大きく事情が異なります。
自分の戸籍から子供の名前が抜けたとしても、子供にとって、自分が生みの親である事実は一生涯変わりません。
自分が死んだ場合、既に離婚をして戸籍から子供の名前が抜けていたとしても、元配偶者との間に生まれた子供だとしても、自分の相続人であり続けるのです。
これは、元配偶者が親権を取ろうと取るまいと同じです。
繰り返しになりますが、離婚によって戸籍が別々になったとしても、親子である事実は未来永劫変わりがないのです。

 

実子との関係は、親権の有無とは無関係であり、夫婦が離婚をすれば元配偶者の相続権は消えますが、元配偶者との間の子供たちの相続権は消えません。

養子縁組のお話も少し、しておきましょう。

では、離婚して実子の親権を取得した元配偶者が再婚をした場合はどのようになるのでしょうか?

 

仮に、前妻が離婚をした後、子供を連れて新たな男性と再婚していたとします。

 

子供は、母親が再婚をしたことによって、自動的に再婚相手の男性と親子関係が生じることはありません。
その子供は、再婚相手と養子縁組することで、はじめて新たな養親子関係が生じ、養親の相続についても相続する権利を発生することとなるのです。

そこで注意していただきたいことがあります。

養子縁組した子供は、養親の相続について相続人となりますが、実親との親子関係が途切れることはありません。
つまり、子供は実親からの相続権を持ち続けたまま、養親である母親の再婚相手についても相続する権利を得ることになるのです。
元配偶者との間の子供が、「養子縁組することによって、実親とは縁が切れて、実親の相続について権利がなくなる」という考えは誤りです。
その子供は実親についても、養親についても、それぞれの親子関係によって相続する権利を有するのです。

代襲相続って・・・何?

さらに、元配偶者との間の子供の相続権は、一代だけのものではない点にも注意が必要です。はじめの方に「代襲(だいしゅう)」と言う聞きなれない言葉が登場しましたよね。
代襲とは、「相続人になるべき人が先に亡くなっていた時、その相続人になるべき人の子が相続人となること」です。
ちょっとややこしいですが、仮にお爺さんが亡くなる前に、既に相続人となるべき長男が死亡していたとしても、その長男に子(つまり、亡くなったお爺さんから見て孫)がいれば、相続する権利は孫に移るということです。

事例のように元配偶者との実子の代わりに、その子である孫が相続人としての権利を持つことになるのです。

まとめ

このように、離婚したパートナーとの間に子供がいる場合、その子供の相続権については、自分の一生涯にわたって続く問題であり、それを放置することは、次の世代に問題を残す可能性にもなります。
この現実をしっかりと直視し、遺言書の準備や遺留分対策としての生命保険の活用など、相続トラブルを回避する行動が欠かせないでしょう。

 

何事も準備をする、しないとでは大違い。

 

相続が発生した場合は、スムーズに行いたいものです。その為にも事前にある程度の相続の手続きの流れと注意点を押さえておく必要があります。

 

ある意味これも、「相続対策」であり、最近巷で言われている「終活」とも言えるでしょう。

 

なかでも。自分の親族の状態や相続のトラブルを回避するための遺言について一度考えてみることは、大切です。

 

                                                      
また、遺言書は、貴方の人生を写す、残された親族へのメッセージです。
山形市,司法書士,法務局,相続,相続放棄,遺産,遺言当事務所のホームページでは、もうちょっと詳しく、相続や遺言、その他の手続きについても説明しています。興味のある方は、こちらからお入りください。

 

山形市,司法書士,法務局,相続,相続放棄,遺産,遺言