後悔しない!相続対策「相続と遺言のトリセツ」

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昔々、お爺さんの楽しみは、郵便局で孫の名義で口座を作って、その口座に毎月少しづつ、お金を貯めることでした。

 

その後・・・・

 

お爺さんが 亡くなった後、金庫の中から孫名義の通帳が出てきました。

 

そんなお爺さんの行動が・・残念ながら裏目に出てしまいした。

 

いったい何が起こったのでしょう?

兄「だいたい、金庫から出てくるまで誰もそんな金の存在は知らなかったんじゃないか。おふくろですら知らなかったんだから。だったら、実際には親父の金だろう。親父の遺産分割の際はそのお金も入れるからな。」

 

妹「何言ってるの。通帳の名義がうちの子になってるじゃない。父さんが、うちの子ために貯めてくれたのよ。このお金は、うちの子のものに決まってるでしょう。」
 
兄「親父がそう決めていたという証拠でもあるのか? とにかく、話はそう単純じゃないぞ。おれも少し考えさせてもらうからな」

 

このように、自分の子名義の通帳があった親は、その預金は自分の子のものだろうと主張し、それ以外の相続人は、被相続人がお金を出したので、被相続人の遺産だと主張しています。

 


お爺さん、いったい何の為にためたの?

さてさて・・・

 

今は、銀行や郵便局の窓口で本人確認が厳しく他人名義の口座を作ることはできませんが、昔は、あまり厳しくなく、子や孫など親族のうちの誰かの名義を借りて口座を開くこともできたようです。

 

そもそも、このお金は お爺さんの遺産に当たるのでしょうか?それとも名義人である孫の財産になるのでしょうか?

 

被相続人が、自分自身のお金だと思って貯めていたら、それは遺産になる可能性が高くなりそうですが、逆に、その名義の人に贈与する趣旨で貯めていたとしたら、名義人への贈与になるような気もしますが …..

 

それでは、お爺さんが孫の名義を借りて人知れずに作った銀行口座の預金はいったい誰のものになるのでしょうか。

 

すでに、お爺さんは亡くなっていますので、その真実を知るものは誰もいません。

 

 

とりあえず、口座の名義人は孫となっているのは間違いありません。

 

それは当然、口座の名義人である孫のものだろうと考えることもできそうです。

 

しかし、もともとはお爺さんの持っていた現金を口座に預け入れたのものです。

 

そもそもお爺さんは何のために預金していたのでしょうか? 

 

孫の名前で口座を作っていることを考えると、もしかしたら孫が大きくなったら将来あげるつもりだったのかもしれません。

 

しかし、その明確な証拠はなさそうです。

 

もしかしたら、お爺さんは、自分の財産を隠すつもりで孫の名義を拝借していた可能性だってあるかもしれません。

 

または、誰にも知られたくない秘密のお金の出入りを、こっそりと他人の口座で行おうとしていたのかもしれません。

 

ただし、これも確かな証拠は何もありません。

 

事実として判明しているのは、お爺さんのお金が、お爺さんによって、孫の口座に預けられていたということだけです。

 

困った困った・・・・・・

名義預金(めいぎよきん)って厄介ね!

このような預金は、「名義預金(めいぎよきん)」「借名預金(しゃくめいよきん)」と呼ばれ、基本的には、そのお金は本当の預金者であるお爺さんのものであるとみなされることになります。

 

つまり、たまたま祖父の現金の置き場所として孫の名義の口座を借りていたにすぎない、と解釈されるわけです。

 

そのように解釈すれば、当然にお爺さんのお金ですから、お爺さんが亡くなれば、遺産として分けるべきものに含まれます。

 

たとえ孫の名義の口座だったとしても、真の預金者がお爺さんならば、それが孫のものにはならないのです。

 

ほかにも、名義預金の存在は、相続税の申告の際にも厄介な問題となります。

 

子や孫の名義を借りているだけで、実際には預金した被相続人のお金であるということになれば、いくら子や孫の名義といえども、相続税の対象の遺産として申告しなければなりません。

 

名義が違うから大丈夫だろう、というのは残念ながら大きな間違いです。

 

家族の名義で残されている預金は税務署が調べればすぐに目星がつくでしょうし、ちゃんとした説明ができなければ、「本当は被相続人の遺産ではないか?」と問題になります。

 

通帳も印鑑も被相続人が管理していたような口座を、子または孫のものだと主張するのはかなり無理があるでしょう。(銀行印の行方が分からなくなってたり・・・して)

 

子や孫のためにこっそり貯めているという方。

 

あるいは、自分のために親や祖父母がこっそりお金を貯めてくれている可能性がある方。

 

おかしなことにならないよう、気をつけましょう。

備えあれば憂いなし

 

何事も準備をする、しないとでは大違い。

 

相続が発生した場合は、親族間で揉めることなく、スムーズに行いたいものです。その為にも事前にある程度の相続の手続きの流れと注意点を押さえておく必要があります。

 

ある意味これも、「相続対策」であり、最近巷で言われている「終活」とも言えるでしょう。

 

なかでも。自分の親族の状態や相続のトラブルを回避するための遺言について一度考えてみることは、大切です。

 

                                                      
また、遺言書は、貴方の人生を写す、残された親族へのメッセージです。
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