後悔しない!相続対策「相続と遺言のトリセツ」

山形市,司法書士,法務局,相続,相続放棄,遺産,遺言

 

 

遺言書は大きく分けると、自筆証書遺言と公正証書遺言の2種類あります。

 

手元にある遺言書はどちらの遺言書ですか?

 

もし、自分ひとりで作成した自筆証書遺言だった場合は、少し注意が必要です。


この遺言書、すぐに使えないって本当ですか?

お父さんが亡くなった後、引き出しの中を整理してた際に遺言書を発見しました。

 

その遺言書には、「○○銀行にある預金を長男に相続させる」と書かれていました。

 

そこで長男はその預金の手続きを行おうと思い、その遺言書を持って銀行の窓口に行きました。
  すると……

 

 
相続人「すみません、亡くなった父親の口座の解約をお願いしたいのですが・・・……」

 

 

 

 

銀行員「お父様の通帳などお持ちいただいてますか?それでは相続手続きの当行所定の必要書類をご案内しますね。」

相続人「父の遺言書が出てきて、○○銀行の預金を僕に相続させると書いてあるんです。葬儀の支払いもあるので、すぐに解約して払い戻して欲しいのですが。」

銀行員「あの・・お客様、申し訳ございません……ご持参の遺言書なのですが、このままでは解約の手続きは出来ません。」
 
相続人「えっ!これは父の直筆の遺言書ですよ」

銀行員「自筆で作成された遺言書の場合、このままお手続きにお使いいただくことができないのです。まずは裁判所でのお手続きを行ってください。」

相続人「このままじゃダメだって、どう言う事ですか?そんな面倒くさいことを言われても困る。」

 

窓口での押し問答が始まってしまいました。

ケンニンってなあに?

銀行員も、理由なく解約の手続きを拒んでいるわけではありません。

 

実は、このようなケースでは「検認(けんにん)」しなければならないと言うルールがあるのです。

 

民法の第1004条では、遺言書を保管している人や遺言書を発見した人は、遺言者(遺言書を作った人)の死亡を知ったあと、すぐに家庭裁判所に遺言書を提出して、検認の手続きをしてください。と書いてあります。

 

「検認(けんにん)」とは、家庭裁判所が、相続人に対し自筆証書遺言の内容を知らせるとともに、検認の日現在における遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名などを明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。 遺言の有効・無効を判断する手続ではありません

 

自筆証書遺言を使って何かをしようと思ったら、まずは検認手続きを行わないといけない訳です。

 

いくら遺言書の様式や内容に誤りのないパーフェクトな遺言書であったとしても、この検認手続きを省くことはできません。

 

更に家庭裁判所での検認手続きが終わるまでは一定の期間が必要となってしまいます。1カ月、2カ月かかることもあり、その期間、相続手続きが遅れてしまうことになります。

 

 
自筆証書遺言の検認手続きを知って、長男は困ってしまいました。

 

どうにかして検認手続きを省略する方法はないのでしょうか?

検認手続きのいらない遺言?

実は、あるんです。

 

検認手続きのルールである民法第1004条をよく読んでみると、次の第2項目に「公正証書(こうせいしょうしょ)による遺言については、検認手続きを適用しない」ということが書いてあります。

 

と言うことは、もし亡くなったお父さんの遺言書が「公正証書」で作成されていたならば、裁判所での検認手続きを行わなくても良かったのです。

 

・自筆であった場合    → まずは家庭裁判所で検認

 

・公正証書であった場合 → 家庭裁判所で検認しなくてもOK

 

 

というように、遺言書の効力が発生した後の相続手続きに明らかな差が出ます。もちろん、公証証書遺言の方がより早く進むことになるのは言うまでもありません。

 

 それでは、この有利な「公正証書」で遺言書を作成したい場合、どこでどのような手続きを行えばよいのでしょうか。

 

簡単に説明すると、公証役場に行って、公証人と証人2名の立会いのもとに遺言の内容を確認して、所定の手数料を納めれば、公正証書の出来上がりということになります。

公正証書遺言について

ここから詳しく説明していきます。

 

ここから詳しく説明していきます。

 

まず基本的に、公正証書は、公証役場(こうしょうやくば)で作成します。公証役場まで出かけて、公証人という人に頼んで、遺言書を作成してもらうことになります。

 

ただし、実際に公証役場まで出向かなくても、出張費用はかかりますが、病院や自宅など、希望の場所まで公証人に出張してもらうことも可能です。

 

また公証人への手数料が必要となるため、公正証書は無料では作成することができません。

 

遺言書に記載する財産の価値や分け方に応じて、所定の費用が必要となります。更に必ず2名の証人が必要となります。

 

この証人2名は、一定の範囲の遺族がなることはできません。また、財産を受け取る予定の人が証人となることもできません。

 

一方で、そう簡単に進まないケースもあります。たとえば、遺言書の具体的な内容について、ある程度の範囲なら公証人に相談に乗ってもらえる場合もありますが、公務員に準ずる立場上、家族間の利害関係に巻き込まれる可能性もありますので、あまり詳細にアドバイスをもらうことは難しくなります。

 

あとは証人になってくれる人を探すのが、案外難しいようです。

 

証人になれない人(民法974条)

 

(1)未成年者
(2)推定相続人(遺言者が亡くなったら相続人になれる立場にある人)、受遺者(遺言により財産を貰う人)及びその配偶者並びに直系血族
(3)公証人の配偶者、4親等内の親族、書記及び雇い人

 

上の(2)にご注目ください。

 

遺言者のもっとも身近な親族である子共たちは推定相続人や遺産を継いでもらいたい人は、証人にはなれないとされているのです。

 

通常、自分の遺言の内容については他人に知られたくないものですし、関係者以外の人に証人を頼むのは気持ちのうえでも大変です。

 

そのため、公証人の手数料のほかに所定の報酬が別途必要となりますが、守秘義務のある法律専門職から遺言書の内容についての具体的なアドバイスや、必要な書類の手配、公証役場との打ち合わせ、証人2名の派遣など、公正証書による遺言書の作成に欠かせない一連の手続きのサポートを受け、スムーズに公正証書遺言を作成するサービスも多くあります。

 

ただし、この遺言公正証書関連の有料サービスは、報酬体系やサービスの質が様々であるのが実情です。

 

場合によっては、具体的な提案内容が単純である割には報酬が高くなりすぎたり、逆に品質面で見劣りすることも十分に考えられるため、依頼先を慎重に見極めて利用する必要があるでしょう。

備えあれば憂いなし

 

何事も準備をする、しないとでは大違い。

 

相続が発生した場合は、親族間で揉めることなく、スムーズに行いたいものです。その為にも事前にある程度の相続の手続きの流れと注意点を押さえておく必要があります。

 

ある意味これも、「相続対策」であり、最近巷で言われている「終活」とも言えるでしょう。

 

なかでも。自分の親族の状態や相続のトラブルを回避するための遺言について一度考えてみることは、大切です。

 

                                                      
また、遺言書は、貴方の人生を写す、残された親族へのメッセージです。

 

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