後悔しない!相続対策「相続と遺言のトリセツ」

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ある夫婦の会話を聞いて見ましょう。

 

 

 
「ねぇ、〇〇さんの凍結された預金通帳の件、どうだった?彼には奥さんも子供も兄弟もいなから、あなたが唯一の親族なんでしょう?」

 

 

 

 

夫 「銀行に相談してみたが、やっぱり、亡くなった彼から見るとオレは従兄弟(いとこ)にしかすぎないから俺は相続人にはなれないらしい。いろいろと難しいことばかり言われて手続きできないんだ。」

 


「彼の実家も近所で、幼い頃から、あたなとは兄弟みたいにお互い助け合いながら育ってきたのに、いざとなると融通が利かないのね。」

 

 

 

 

夫 「5年くらい前に軽い脳梗塞で倒れたときからだな、あいつの体が少しずつ弱っていったのは、急に容体が悪化して、最後は「いろいろ迷惑かけるかもしれないが、俺に何かあったら頼む。」ってカードと印鑑、預金通帳を渡されて、数日後に亡くなってしまったな。」

 


「本当にまだ若いのにねぇ。」

 

 

 

夫 「どうやら預かっている通帳の他にも、他にも預金があるようなんだ。彼は堅実な暮らしをしていたからな・・・・いったいこの先、どうすればいいんだろう?」

 

残念ながら、法律では従兄弟には相続権がありません。
いくら故人と従兄弟が長い間に渡って兄弟同然の付き合いをしてきたとしても、従兄弟が相続人として認められることにはならないのです。


相続人の不存在

このケースは相続人となる方が全くいない、専門用語で「相続人の不存在」と言います。

 

相続人の不存在の場合、この夫婦のように故人の通帳などの遺産はどのようにしたらよいのでしょう?

 

その手続きは民法の951条・952条に記載されています。

 

利害関係のある人は、家庭裁判所に申し立てることにより遺産の管理事務をしてくれる正式な管理人を選んでもらい、選ばれた弁護士などの管理人が、遺産のなかから故人の借金などの債務を差し引いて、最終的には残ったプラスの資産は国のものとなるのです。(民法959)

 

この手続は、「相続財産管理人選任の申立て」といいますが、地域にもよりますが申立ての際に裁判所への予納金として50万円以上のお金が必要になることも珍しくありません。
そういった諸々の費用は、勿論申立人の負担で収め、最終的に故人の遺産は国のものになるのです。

 

これでは遺産を預けられた者にとって負担が大きすぎます。

遺言書を作っておくべきですよね。

それを避けるためには、あらかじめ誰にいくらあげるとか、どの団体にこういった趣旨でこれだけの遺産を寄付したいといった、その方(遺言者)の思いを反映させた遺言書を残しておくことが必要となります。

 

なかには、さきほどの預金通帳を預けられた夫婦の話のように、本人も予期しなかった突然死のために、遺言書の準備ができていなかったという場合もあるでしょう。

 

一般的には、まだまだ「遺言書なんてまだまだ先の話だ」という心理が働きやすいのかもしれません。

 

しかし、夫婦に通帳を預けた〇〇さんは、天国から「こうなるんだったら遺言書を作っておくんだった。」と後悔していることでしょう。

何か他に方法はないの?

何とか、この夫婦が故人の遺産を受け継ぐことができないのでしょうか?

 

さきほどの夫婦の話を聞くと、従兄弟とは、幼いころから、兄弟以上の付き合いで互いに助け合い、万一のことがあれば、病院にすぐにかけつけて、必要な面倒を家族同然に見ていた……
最後は葬儀、納骨まで・・・・

 

.また遺言書こそ作っていませんでしたが、通帳などの遺産を託すといったような、特別な間柄立ったようです。

 

このような場合にまで一切遺産の承継を認めないとすると、必ずしも故人の意向に沿った遺産の帰属になるとはいえず、不具合が出てきてしまう気がします。

 

そこで法律は、相続人不存在の場合に従兄弟同士であるとか、あるいは内縁の妻というように、故人の相続人でなかったとしても、本当の親子や夫婦だといえるほどの精神的あるいは経済的に緊密な関係があれば、一定の措置を取ることを認めています。(民法958条の3)

 

つまり、特別な縁故関係があったということで、裁判所の慎重な判断のもとに、故人の遺産の全部または一部を受け継ぐことができる、という制度を設けているのです。

 

この制度を利用することで、さきほどのケースのような夫の立場でも、 従兄弟の遺産を承継できる可能性があることになるのです。

でも、間違いないのは、やっぱり遺言

いずれにせよ、相続人となる方がいらっしゃらない方は、万が一の相続に備えて遺言書を作成しておくなどの準備をしておく必要があります。

 

遺言書を作るタイミングは、早すぎるということはありません。

 

お世話になっている人などに遺産を引き継がせたいという思いがあれば、第三者にもわかる形ではっきりと意思表示を行い、法律に則した形での記録を残しておいたほうがよいといえるでしょう。

 

当事務所では、遺言書の作成をサポートします。

 

その為にも事前にある程度の相続の手続きの流れと注意点を押さえておく必要があります。

 

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